花うつ

花子28歳独身。パワハラによるうつ病に悩まされ、リストカットにまで追い詰められた。でも、うつ病は必ず治る、私なりの独自の治し方で、うつ病と向き合っています。うつ病に効く食材を使った料理紹介や小説も公開予定です!現在はフリーライターとしても活躍中。お仕事依頼もよろしくお願いいたします。お仕事依頼は、south1989.1322@gmail.com まで!!小説家志望ですので、いつか本を出せたらいいなと言う野望も持っていますw

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【小説連載】スニーカー 10話目

真紀は、知っていた。

自分がいかにして幸せな環境にいるか。

両親は病気のことを理解してくれていて、自分に最大の愛を注いでくれている。

配慮だってしてくれている。なるべく、働くという話題から遠ざかって話をしてくれている。

荒巻に出会ったことが、なかったかのように生活してくれているし、その話に繋がるようなことは一切言わない。

 

しかし、真紀はその幸せな環境に少しだけ疑問を感じていた。

両親のしてくれていることは、感謝しかないのだ。

でも、このままこの環境にいることで、自分は変われるのだろうかと思っていた。

 

真紀自身、このままではいけないと思っていた。

こんな不安ばかりが募る自分では、一向に自分は良い方向に進めないのではないかと言う自問自答が続いていたのだ。

 

その気持ちを両親に打ち明けるか。。。そう思ったこともあった。

ももし、自分がそんなことを話してしまえば両親を傷つけてしまうのではないか。

そう思ったら、言いだすことができなかった。

 

父上は、求人誌をコンビニで見るたびに真紀にできる仕事はないかと見ていた。

同じ接客業なら、もしかするとできるのではないのだろうか。

でも、そんな中で気持ちが止まってしまう。

もし真紀に、働くことを提案したら、きっと真紀のことだ。

働くと言うに違いない。しかし、それが真紀の本心かどうかはわからない。

自分たちに気を使って答えを出すに違いない。

 

もし、真紀が同じような辛い目に遭ってしまったら...。今度は、生きた真紀を見れなくなるのではないか...。

父上の中で、病院のベッドにいる真紀の姿はトラウマと同じようなものだった。今だって。思い出さない日はないだろう。

あの時、もっと自分が真紀のことをちゃんと見ていれば...。

食欲がなく、痩せたことすら気付かなかったのだ。

真紀が生まれてきたとき、生まれたばかりの真紀を抱き上げて誓ったのに。

俺が、この子を一生をかけて守ると。

それなのに、自分は守ることができなかった。

父上もやっぱり悩んでいた。

 

 

母上は、真紀が仕事を辞めてくれたことで助かっている部分もあった。

仕事から帰ってくると、夕飯はできていて、洗濯物だって片付いている。

家だって、常にピカピカに掃除されているし、仕事に集中できる環境にある。

でも、このまま娘に甘えていていいのだろうか。

 

母上は、真紀と話し合おうと何度か思っていた。

でも、今の真紀は家事を楽しそうにしている。自分が、このまま甘えていいんだろうかと言ってしまえば、真紀の娯楽を奪ってしまうのではないかと思っていた。

でも、もしかすると真紀にだってやりたいことはほかにあるのではないか。家事に縛られて、本当にやりたいことをできないままなのではないか。

今ほど、娘の気持ちがわからないことはない。

 

あの時、娘の左手から大量の血が流れていたのを見たのは母上だった。

一瞬、何を見ているのかわからなかった。

でも、娘は倒れている。それだけの認識で、救急車を呼んだ。

娘が何かに悩んでいるのは察していた。でも、深くは聞けなかった。

知らぬ間に30歳手前になった真紀。そんな年齢なら、恋の悩みもあるだろうと思ってしまった。

まさか、仕事であんなに辛い思いをしていたなんて...。

気付けなかった自分が情けない。

真紀が、かわいそうだった。

 

今度は、どうしたらいいのだろう。

荒巻と出会ってしまい、迎えを待つ真紀の不安そうな顔。

それは、逆に母上を安心させた。今度はちゃんと、自分に助けを求めてくれた。

母上は、真紀が生きているだけで幸せなのだ。

でも、この現状にやはり真紀と同様に疑問を感じていた。

 

この家族、今が一番、壁にぶつかっているとき。

でも、それが個別だからなかなかまとまらないのだ。

 

だれかが一歩踏み出さないと、変わりそうにはない。

いったいこの後、誰が最初に行動を起こすのか。

そしてどう変わるのだろうか...。

 

続く。