花うつ

花子28歳独身。パワハラによるうつ病に悩まされ、リストカットにまで追い詰められた。でも、うつ病は必ず治る、私なりの独自の治し方で、うつ病と向き合っています。うつ病に効く食材を使った料理紹介や小説も公開予定です!現在はフリーライターとしても活躍中。お仕事依頼もよろしくお願いいたします。お仕事依頼は、south1989.1322@gmail.com まで!!小説家志望ですので、いつか本を出せたらいいなと言う野望も持っていますw

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

【小説連載】スニーカー 11話目

このワクワク感とドキドキ感は、今までの人生の中になかったかもしれない。

知らない人間ばかりだと分かって、歩くのはこんなに安心感があるんだ。

ここでは、私を知っている人は誰もいないだろう。

もしいたとしたって、この人混みが私を守ってくれるに違いないのだ。

 

あの写真集は、私を大きく変えてしまった。

二度目に見た写真集は、私に行動力を与えてしまったのだ。

初めてあの写真集を見てから一週間、私は写真集を忘れることができなかった。

だから、買い物なんてないのに外へ出た。あの写真集を見るために。

 

写真集を一瞬みて、私はすぐにそれをレジへと運んだ。

もう、私は自分の気持ちを止められなかった。

そして無言で帰り、一日中、私は写真集に穴が開くんではないかと思うほどそれを見続けた。

夕飯の支度も忘れ、外は雨だというのに洗濯物を取り込むのを忘れた。

 

母は、そんな私を心配した。

私は、体調が悪かったから寝ていたと嘘をついた。そういえば、私が仕事を辞めてから初めてついた嘘かもしれない。

 

その日は洗濯物はコインランドリーで乾かして、夕飯はコンビニのお弁当になった。

罪悪感はあったけれど、でもそれ以上に写真集を手に入れた嬉しさのほうが勝ってしまった。

 

私は通帳を眺めていた。

実は、会社に勤めていたころから定額預金をしていた。

毎月、一万円ずつ貯めていた貯金は、80万円を超えていた。

これは、もし家族に何かあったときや、家族に必要となったとき用だった。

高校のとき、祖母が倒れた。そのときに、両親がお金のことで悩んでいる姿を私は見た。その時、私は何もできなかった。自分の無力さをここまで感じた時はなかった。

 

だから、働き始めた時は絶対に貯金をしようと決めていた。

 

そして貯めた80万。

別に今は住みたいわけじゃない。ただ、この写真集の世界を見てみたい。

でも、そんな私の私利私欲でこのお金を一円でもおろしていいものだろうか。

 

私は、悩んでいた。

 

夕飯の支度をしながら、私は食卓に座る両親をチラチラと見ていた。

両親は、私に気を使っている。もし、私が両親の立場だったら、きっと居心地が悪く神経を使うはずだ。

何か言いだすもの辛いかもしれない。でも、このままだったら両親はずっと居心地の悪いままだ。

 

救い出さないと。私のせいで、変わってしまった家族の空気から。

難しく考えちゃいけない。私は、東京に行きたいと言うだけ。

それは普通のことだけど、私にとっては普通じゃない。ハードルが高い。

でも、言わないと何も変わらない。

だから

「私、東京へ行きたい。」

この言葉で、普通じゃない普通が実現できることを願いにこめたんだ。

 

続く。