花うつ

花子28歳独身。パワハラによるうつ病に悩まされ、リストカットにまで追い詰められた。でも、うつ病は必ず治る、私なりの独自の治し方で、うつ病と向き合っています。うつ病に効く食材を使った料理紹介や小説も公開予定です!現在はフリーライターとしても活躍中。お仕事依頼もよろしくお願いいたします。お仕事依頼は、south1989.1322@gmail.com まで!!小説家志望ですので、いつか本を出せたらいいなと言う野望も持っていますw

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【小説連載】スニーカー13話目

東京までの移動に、高速バスを選んだのは正解だった。

乗ってしまえば、あとは座っていれば東京に着いてしまうのだ。

こんなに便利なものはない。

寝てしまおうと思ったけれど、東京へ行くドキドキとした心の高鳴りは、私を寝かせてはくれなかった。

 

東京の人ごみに入れば、私はただの人だった。

最初は挙動不審だった私も、人混みのなかに混ざってただ普通の人になりきっていた。

私を、うつ病だと思う人はいなくて、挙動不審な私にさえ誰も目にとめない。

最初は居心地の悪かった環境が、だんだん自分の居場所に変わる瞬間を五感で感じた。

そして、丸かった背筋がだんだん伸びていく。

 

そんな自分に、私は完全に酔いしれていた。

 

写真集に載っている場所を巡る旅だと、私はそう決めていた。

一日で周るのは無理なので、三か所だけ場所を調べた。

 

地下鉄を二回乗り換えて、私の行きたい場所へと着く。

電車に乗るのは、久しぶりだ。独特の地下鉄のにおいが、過去に電車に載った記憶を甦らせる。あの時は堂々と乗っていた電車、今は不安と楽しみが混ざる複雑な気持ちで乗る電車。同じ電車でありながら、私の気持ちが別の乗り物に変化させる。

きちんと乗り換えに成功するのだろうか。

もし地下鉄の中で、具合が悪くなったら。

でも、これに乗れたら楽しい場所。

数日、ドキドキしていた夢の場所へと連れて行ってくれる。

 

いろんな気持ちの中で、地下鉄がやってくる。

扉が開き、降りる人たちの波にもまれる。

そんな中で、私は一瞬にして人に酔う感覚に陥った。

決して降りる人たちが多かった訳ではないのに、なぜだか苦しくなる。

そして、私は目の前の電車に乗れなかった。

 

心臓の動悸が止まらない。

落ち着け、私。大丈夫、私。

心の中で、なん度も叫んだ。

 

そんな中で、会社の研修のことを思い出す。

新入社員研修で、電車に乗り遅れた私。

研修で遅れるなんてと、地下鉄のホームで落ち込んでいた。

しかし、落ち込んでいる最中に、すぐに次の電車が来て驚いた記憶。

このとき、東京の電車の本数の多さを知った。

 

ここは、私の住む町とは違う。

多くの人が移動する東京。

これで駄目なら、次がある。失敗も挫折も、その便利さが補ってくれる東京。

数年前、それを実感したのではないのか自分。

 

大丈夫、次こそは。

そんな事を考えていたら、次の電車がやってきた。あの頃のように。

私は、電車に縋り付くようにして乗った。今度こそ、夢の世界へ行くために。

 

そうして、私の動悸は知らぬ間に治まっていた。

二駅で降りて、次の地下鉄へ乗る。

今度だって、もし乗れなかったら、次を待てばいい。

 

そんなことを考えているうちに、私は乗り換える電車に乗っていた。

地下鉄の暗さとは正反対で、その時の気持ちは明るかった。

 

続く。