花うつ

花子28歳独身。パワハラによるうつ病に悩まされ、リストカットにまで追い詰められた。でも、うつ病は必ず治る、私なりの独自の治し方で、うつ病と向き合っています。うつ病に効く食材を使った料理紹介や小説も公開予定です!現在はフリーライターとしても活躍中。お仕事依頼もよろしくお願いいたします。お仕事依頼は、south1989.1322@gmail.com まで!!小説家志望ですので、いつか本を出せたらいいなと言う野望も持っていますw

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【小説連載】スニーカー14話目

地下鉄に無事に乗れたのはいいものの、駅を出たら、どこへ行ったら目的地へたどり着くかがわからない。

 

しかも、だんだんお腹が空いてきた。

 

地図アプリでナビを起動するも、自分が北にいるのか、南にいるのかさえ分からないのだ。

地下鉄に乗っている間に、母から電話があたらしい。しかも、そのあとに父からも電話があったらしい。

そういえば、東京に着いたら電話をしてと言われていた。乗り換える電車のことや、人混みに夢中になってしまい、うっかり忘れていた。

 

しかし、今は電話は掛けられない。

なぜなら、今掛ければ、私はおどおどした声で電話をすることになるだろう。そうすれば、両親に心配されてしまう。

 

とにかく今は、目的地に着いて安心した声を聞かせたい。

 

交番がある。ここで聞くのが早いだろうか。

でも、人に道を聞くのは勇気がいる。

どうしようか...。

 

そんなことを考えていたら、

「どうしたの?」

とおばさんが、声を掛けてくれた。

「えっと。」

私は、うまく言葉が出てこない。

「あなた、大丈夫?顔色も悪いし、立ちすくんでたから。」

とおばさんは、私の顔を覗き込む。

「み...みち...道が分からなくて。」

と小さい声で言った。

「どこへ行きたいの?」

おばさんは、優しい声で聞く。

「ここへ行きたくて...。」

私は、持っていた写真集の写真を見せた。おばさんは、眼鏡をはずしてよく見てくれた。

「商店街ね...。ちょっと待ってて。お巡りさーん、ねぇちょっと。」

すると、交番の前で立っていたお巡りさんが、こちらにやってきた。

「どうしました?」

お巡りさんは、心配そうに聞いてくる。私は、お巡りさんの存在に、何も悪いことをしていないのにドキドキする。

「この子がね、この写真の商店街に行きたいんですって。分かるかしら?」

おばさんは、私の写真集をお巡りさんに見せる。お巡りさんは、それをよーく見て言った。

「なるほど、ここですね。わかります、わかります。ここ、うまいラーメン屋があるんですよ。案内しますね。」

そう言うと、お巡りさんは交番の扉に留守の札をかけて、私の元へと戻ってきた。

「よかったじゃない。」

おばさんは、そう言った。

「じゃぁ、案内しますね。」

お巡りさんは、そう言う。

「じゃぁ大丈夫ね。あなた大丈夫?顔色悪いけど、体調悪い?」

おばさんの言葉に、お巡りさんも私の顔を覗き込む。

「だ...だい...大丈夫です。」

私の言葉に、お巡りさんとおばさんが顔を見合わせる。

「もし具合が悪ければ、病院に。」

お巡りさんは、そう言った。

「そうね。体が一番だもの。」

おばさんも、そう言った。このままじゃまずいと思った。きっと顔色が悪いのは、うつ病で着くかどうか分からない不安からきたもの。目的地に着けば安心して、体調も戻るのだ。でも、このままだと目的地ではなく、病院に連れていかれる。どうしたら、いいのだろうか。

「あのっ私、うつ病なんです。ここへ着くかどうか不安で...。それで...体は大丈夫なんです。き...気持ちの問題で...。」

咄嗟に出た言葉だった。

でも、理解してもらえるのだろうか。

すると、おばさんが私の目を見て言った。

「苦労したのね。まだ若いのに。もし、行く途中で具合が悪くなったらお巡りさんに言うのよ。」

おばさんの目は、優しかった。

「はい、ありがとうございます。」

私は、自然と笑えた。

「じゃぁ、行きましょうか。」

お巡りさんは、そう言ってくれた。

「ありがとうございました。」

私は、おばさんに深く頭を下げた、おばさんは、私の肩をポンポンと軽くたたいて去って行った。

 

東京の人は、冷たい人ばかり。そんな偏見を持っていた私は、愚かだった。

優しい人だって沢山いる。ただ自分の不安で勝手にそう思い込んでいただけなのだ。

 

不安の多い私の東京旅に、一筋の光がさした。

早くこの感動を気持ちを、両親に伝えたい。

私は、そう思いながらお巡りさんの後を着いていった。

 

続く。